成年後見制度とは
私たちの日常に契約はつきものです。
コンビニで買い物する際に契約書に実印を押したりしませんが、これも契約です。
契約をするには、自分の行為の結果がどのようになるか判断できる能力が
必要となります。
しかし、認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力が不十分な場合、
そのことによって不利益を被ってしまうおそれがあります。
不動産や預貯金などの財産管理をしたり、身のまわりの世話のために介護などの
サービスを利用したくても、自分で契約を結ぶことが難しい場合があります。
このように判断能力の不十分な方々を保護し、支援するための制度が成年後見制度です。
成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度の2つがあります。
法定後見制度
成年後見制度とは、「後見」「保佐」「補助」の3つに分かれており、
判断能力の程度など本人の事情に応じて制度を選べるようになっています。
法定後見制度においては、家庭裁判所によって選ばれた
成年後見人等(成年後見人・保佐人・補助人)が、本人の利益を考えながら、
本人を代理して契約などの法律行為をしたり、本人が自分で法律行為を
するときに同意を与えたり、本人が同意を得ないでした不利益な法律行為を
後から取り消したりすることによって、本人を保護・支援します。
対象 | 本人が、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く 常況にあること。(痴呆・知的障害・精神障害等により 判断能力を欠く状態にあるのが通常であること。 すなわち、自己の財産を管理・処分することが 出来ない状態で、日常的な買物等も自分では出来ず、 誰かに代わってやってもらう必要があるという程度の状態。) |
申立てに必要なもの | 1.申立書 2.申立書付票 3.収入印紙 800円(申立書に貼付) 4.登記印紙 4,000円 ※別途料金になります ※鑑定料の予納も必要 (鑑定の内容により異なるが、一般的には10万円程度) |
診断書について | 必要 |
対象 | 本人が、精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく 不十分であること(精神上の障害により判断能力が著しく 不十分で、自己の財産を管理・処分するには、常に、 援助が必要な程度(具体的には、日常の買物程度 は単独で出来るが、不動産や自動車の売買、金銭の貸し借り 等重要な財産行為は自分では出来ないという程度。) |
申立てに必要なもの | 1.申立書 2.申立書付票 3.収入印紙 800円(申立書に貼付) 同意権付与もしくは代理権付与またはその双方の審判と 共にすることを要する。併合して申立てる場合、 収入印紙は2件分1,600円。または3件分2,400円。 4.郵便切手(裁判所によって異なる) 5.登記印紙 4,000円 ※別途料金になります |
診断書について | 必要 任意の書式による診断書で可、 本人の判断能力判定に ついての医師の意見が付されていなくてもよい。 |
対象 | 本人が、精神上の障害により事理を弁識する能力が 不十分であること。(自己の財産を、管理・処分するには 援助が必要な場合がある、という程度、具体的には、 重要な財産行為は自分で出来るかもしれないが、 できるかどうか危惧があるので、本人の利益のためには 誰かに代わってやってもらった方が良いという程度。) |
申立てに必要なもの | 1.申立書 2.申立書付票 3.収入印紙 800円(申立書に貼付) 同意権付与もしくは代理権付与またはその双方の審判と 共にすることを要する。併合して申立てる場合、 収入印紙は2件分1,600円。または3件分2,400円。 4.郵便切手(裁判所によって異なる) 5.登記印紙 4,000円 ※別途料金になります |
診断書について | 必要 原則として鑑定が行なわれないので、医師の診断の結果等に 基づいて、本人の判断能力について判断がされるので、 必ず、判断能力についての医師の意見が付されている診断書 でなければならない。 |
管轄 | 本人の住所地(生活の本拠)を管轄する家庭裁判所 |
申立書の添付書類 | 1.申立人の戸籍謄本
2.本人の戸籍謄本、戸籍の附票、 成年後見に関する登記事項証明書、診断書 3.成年後見人候補者・保佐人候補者・補助人候補者の 戸籍謄本、住民票の写し、 身分証明書(破産開始決定を受けていない旨の証明書)、 登記されていないことの証明書 |
任意的添付書類 | 1.本人の介護保険の保険証、障害者手帳、年金手帳、 老人保健法の医療費受給者証、福祉手帳等 (いずれも、コピーを提出) 2.成年後見人候補者の経歴、病歴、家族構成、 資産・収入、後見の方針等を記載した書面 3.本人が任意後見契約を結んでいる場合には、 登記事項証明書の写し等参考になる資料 4.成年後見人候補者が法人の場合、その法人の 資産や財産内容がわかる資料 |
任意後見制度
任意後見制度とは、本人が十分な判断能力があるうちに、
将来、判断能力が不十分な状態になった場合に備えて、あらかじめ自らが選んだ
代理人(任意後見人)に、自分の生活、療養看護や財産管理に関する事務について
代理権を与える契約(任意後見契約)を公証人の作成する公正証書で結んでおく
というものです。そうすることで、本人の判断能力が低下した後に、任意後見人が、
任意後見契約で決めた事務について、家庭裁判所が選任する「任意後見監督人」の
監督のもと本人を代理をして契約などをすることによって、
本人の意思に従った適切な保護・支援をすることが可能になります。
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